2003マサのアルテッツァレポート vol5


プロローグ


 8月の終わり、次の茂木のレースのドライバーを決めていた。
誰にしようかなー? 自分が乗ろうかなー? いろいろなことを考えながら自分もなんだかんだ言いながら車業界にアピールしないといけないなー!
 アルテッツアレースを盛り上げないといけないなーと日頃から思っていたことを思い出し山梨の花屋に電話した。そうD1で活躍している、今村陽一に電話をしたのである。
 彼とはどこで知り合って話すようになったかは忘れたが、以前から陽一とT&Eの上野には一度アルテッツアに乗ってもらいたく何度か電話をしていたのであった。D1で活躍しているドライバーをレースに挑戦させよう!
 織戸さんや土屋圭市さんが経験したことを経験させてあげられる場を作ってあげよう。そんな事を思いながらレースに挑戦したいという強い意欲感じた為、今回はD1活躍中の今村陽一に決定した。上野も凄く乗りたがっていたがスケジュールの都合の為今回は断念した。
 D1活躍ドライバーがレースでどこまでいけるか凄く楽しみにしていた。ましてやFR。横向けて普通のドライビングスタイルと異なった形でタイムを出してくるんじゃないかと楽しみにして、まずは富士に練習に行った。
 その日はチャンピオンレース前ということと富士が一時閉鎖ということもあって90台一緒の走行練習となった。
 基本的にマシンの特性やスリックタイヤに慣れてもらうためタイムは期待していなかったが90台いる中で53秒台に入れてきた。台数がいなければ50秒切れたら合格をだそうと思っていた。
 んーやはり難しいのかなー? いろんな事を思いながら富士を後にして9月11日の練習走行に向けて町田のガレージで整備をおこなった。
 
9月11日
 
 木曜日の朝9時走行ということで朝4時に出発し茂木に7時に到着した。天候は晴れ。
 今村陽一は茂木初走行ということで木曜日に30分×3本、金曜日に2本そして土曜日の予選を迎える予定になっていた。
 そして9時からの走行が開始した。
 1周目2分26秒20。なんとも言えないタイム。やはり車になれていないのかそれともセッがだめなのか? ラインがちゃんと取れていないのか? マシンが壊れているのか? 疑問ばかりが頭の中をよぎった。
 最終コーナーを上がってきてから1コーナーまでのストレートはサイドブレーキを引いているんじゃないかと思うくらい遅かった。30分走ってベストは24秒44。D1ドライバーもたいしたことがないのか? アルテッツアはそんなに難しいのか? 茂木が難しいのか? 自分までがよく分からなくなってしまった。
 走行後ドライバーにコメントを聞いたが立ち上がりでどの車にも離される。コースが凄い難しいとのコメントだった。突っ込みすぎで立ち上がりでアクセルを踏むが遅れているのか? とりあえず2本目に望むことにした。1本目走行後川崎さんにいろいろ聞いたが答えはでず結局川崎さんから9秒遅いタイムで初レースの痛い先例を受けた。
 2本目。気温は35.7  湿度45% 今村陽一はギヤを3速の所を2速に落とし少しでも立ち上がりで遅れないように意識改革をして走行していた。しかしやはりタイムが出ない。26秒68。やはりおかしい。
 何がおかしいかわからないまま2本目の走行を終えた。3本目には織戸学にテストを頼んだ。車のセットアップとマシンの状態チェックだ。織戸さんに陽一が川崎さんより9秒遅い事を伝えた所、マシンがおかしいか本当にセンスがないかどちらと笑いながら答えてくれた。念の為エアフロをRS千野から借りて、取り替え、準備OK! そしてGT500ドライバー織戸学がアルテッツアに乗り込んだ。
1周目、早くも陽一より5秒早い19秒03を叩き出す。2周目18秒56。そして4周目PITに入ってくるが織戸さんは車を降り、車を押している。何があったのか? クラッチだ! クラッチディスクがバラバラになりミッションのハウジングが見たこともないくらい1周で割れている。凄い状態になっていた。
 エンジン、ミッションを降ろしセットアップを見直し、金曜日に備えることにした。原因は分かっていないがクラッチ、ミッションは新品。おそらくクラッチペダルを何度も蹴ったのか? んー…? わざわざ乗ってもらったので乗車手当分と部品代でチャラにしてもらい、車のセットを再度確認した。
 BANDOHアルテッツアは車高が出場者の中で一番車高が低いのでまずは車高を調整し、ストローク等をセットしていった。陽一は仕事の為、落ち込みながら山梨に帰っていった。
 
9月12日
 
 昨日、セットを変えたので今日の走行は期待していた。そして朝10時45分走行は開始された。
 1周目、陽一が突然PIT IN。コースアウトもしていた。一体何が起こったのだろう? ABSが誤作動おこしていた。おそらく昨日ショックを交換したときにABSのホースをブレーキから離さないで作業してしまうと断線する場合があるのでその時に起こった症状だろう。とりあえず陽一にABSを使わないでコース、ラインをもっと覚えろ! と伝えてコースに戻した。
 4周目以降コンスタントに20秒でラップする。そして10周した時点で走行を終了させた。すぐに今度はグランドスラムプロ町田の福島さんにABSのホースを左右借り交換して午後の走行の準備をした。走るたびに速くなる今村陽一。出だしがかなり遅いが・・・・(笑)
 結局昨日の遅いタイムはエアフロが壊れていたタイムの為、今村陽一に再び笑顔が戻った。セットも車高を上げた方向がドライバー好みだったみたいなので良い方向に進んできた。
 2本目、少し良いタイヤに交換して今村はタイムを刻んできた。2周目18秒92。昨日よりも速いタイム。他車とのバトルや差が感じられないくらいまで車とドライバーが付いてきた。しかしまだ3秒遅い。結局この日は18秒72が最高タイムで明日の予選での一発に期待した。
 
予選 9月13日(土)
 
 予選は10周と読んでいた。NEWタイヤを履いて大幅なタイムアップを期待していた。
 1周目。19秒829、2周目18秒445徐々にタイムを刻んできた。3周目、碓井の前を走っていたがヘヤピンで陽一がアウトからインに行こうとしたときに接触。リヤバンパーが取れかかりオレンジボールを提示させられたためPIT IN。この時陽一は自分がデフポンプのスイッチを入れ忘れたのをオフィシャルが気付いたのでオレンジが出されたと勘違いしていた。(笑)
 織戸、谷口らが見守る中、陽一は再度アタックしに行った。そして6周目17秒305を叩きだした。この時点で28台中21位。後5周位でどのくらいタイムが縮まるか期待していたが結局タイムアップせずに予選22番手で今村陽一初レースの予選は終わった。
 期待していた通りいかなかったが日に日にタイムアップしていく陽一から今後に期待できる道があると僕は感じた。予選は川崎、井入、峰尾、菊池、碓井、中川の順だった。
 
決勝 9月14日(日)
 
 予選22番手グリットにはまるでPPのように凄い人だかりができていた。今回はオートスポーツ、OPTION、CARBOYの取材と共にビデオOPTIONの協力をへて豪華なメンバーがグリットに駆けつけてくれた。土屋圭市、ターザン山田、上野高広、谷口信輝、織戸学たちが陽一を冷やかしに声までかけてくれた。
 そんな中プレッシャーひとつ顔に出さない陽一はスタートのアドバイスを聞いていた。そしてシグナルが赤から青へうまくスタートした陽一は1コーナーで1台かわす・・・
 しかし2周目にはまた抜かれ結局99号車とバトルが始まった。結局バトルしている間にトップとの差は広がりポジションキープがやっとだった。
 先頭は川崎、井入が何度もトップにしかける。レースは12周。峰尾と菊池がやりやっているあいだに碓井が3番手に上がった。その時、碓井のミッションが壊れ無念のリタイヤとなる。5周目のできごとだった。7周目川崎は井入を前に譲り2番手から井入の様子をうかがう。
 そして8周目1コーナーで再び川崎がトップを奪うが後ろから井入が押す。体制をくずした川崎はリヤの挙動がみだれ再び井入と接触、しかし井入が押し返すような状態となり川崎は菊池とも接触。PPはここでリタイヤとなった。
 ここの場面だが僕もモニターで見ていたが国内最高峰のワンメイクレースのドライバーにふさわしくないドライビングスタイルだった。なぜ富士での中川の行為がペナルティーで今回がペナルティーでないのかには疑問をもった。
 ここでトップをうばったのは菊池そして井入、峰尾と続いた。次の周には峰尾が井入をかわし2位へ浮上。ラスト2周となったところで裏ストレートで井入がマシンを止めた。ここで菊池、峰尾、樋口となった。
 そのころ陽一は淡々とわめきながら無事に走っていた。結局その後のオーダーは変わらず菊池、峰尾、樋口、福島、前嶋、中川そして我らが陽一は17位と完走した。タイムは昨日より速い17秒196。日に日に本当に速くなってきた。あと5日あれば…とも思った。
 始めてのレースでタイヤの使い方やセットアップの仕方、ライン取り等、覚えないといけない事がたくさんあるが完走できたので今回はよかった。本当はD1ドライバーが出てきてトップ争いできるかなと思ったがやはりレースはそんなに甘くはなかった。
 また、もしトップ争いして陽一が天狗になられても困るので今回は奴にとっても良かったのだと思う。またドリフト業界からの抜擢で自分も含めてある程度アピール出来たと思う。
 今後はもっとアルテッツアレースを盛り上げる方法をもっともっと考えていきたい。今回はオグラクラッチ、WEDSSPORT、NUTEC、ENDLESS、そして皆様のご支援、ご協力により今回のレースに参戦できることになりました。心より御礼申し上げます。
 今後とも今村陽一共々応援のほど宜しくお願いします。
 次回は必ず結果に繋がるよう努力します。

 あー色々なことがあった茂木だったなー。
 今村陽一・・・なかなか魅力のある人間だった。
 俺程じゃないけど・・・
 


まさ

 



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